大成さんはこの道一筋五十年のベテラン養豚家ですが、その飽くなき探究心とチャレンジ精神には驚かされます。
若い頃から郷里・広島県で養豚業を営んでいた大成さんですが、かごしま黒豚に魅せられて二十三年前、現在の大隅半島に移住、本格的に黒豚を飼い始めました。
現在、肥育豚二万頭以上を擁する規模に成長し、四か所の農場で 35 人のスタッフがつきっきりで豚の世話に携わっています。
大成農場では一頭が 110kg を超えたら出荷します。生後六か月で出荷できる白豚に比べ、八か月を要する黒豚は、エサも人手もかかります。一回の分娩で生まれる産子数も白豚より 2-3 頭少なく、経済効率では白豚にかなわないため、一時期は農家に敬遠され、産地の鹿児島でも飼育する農家が激減した時期がありました。それでも大成さんが黒豚にこだわったのは「黒豚が好き」だったから。
「濃厚で緻密な味わい、そして柔らかい肉質。時間をかけて育つから良いのです」目を輝かせて語る姿に、黒豚への深い愛情と感謝を感じます。